2022/09/26
ブレンディッド・ラーニングとは「テクノロジー」「コンテンツ」「教育学」を活用し、オンラインとオフライン、講義、動画視聴、ディスカッションなどの複数の学び方を組み合わせる(ブレンドする)ことで社員のパフォーマンスを上げる、今、注目の学習スタイルです。
本コラムでは概要の紹介に留まりますが、詳しくは小仁 聡著「ブレンディッド・ラーニング - 新リモート時代の人材育成学(フローラル出版)」で紹介されていますので、興味のある方は手に取っていただきたいと思います。
なぜ、複数の学びの要素をブレンドすることが大事なのでしょうか?
「マルチメディア学習の認知理論」に関する第一人者であるカリフォルニア大学サンタバーバラ校のリチャード・メイヤー教授によれば、3つの認知科学の法則に則して設計された教育は学習効果が高いとしています。
まず1つ目は『複数チャネル』です。
これは、私たち人間が「視覚・画像」による情報処理と「聴覚・言語」による情報処理という、2つの異なった情報処理システムを持っているというものです。
そのため、学び方もひとつではなく複数のチャネルを用いた方が良いのです。
2つ目は『処理能力の限界』です。
ひとつのチャネルの処理能力は限られているため、処理能力以上の負荷を与えないようにする必要があります。
3つ目は『能動的な学習』です。
複数のチャネルを通して与えられた情報を学習者が選択・整理し、既存の知識と統合することで、積極的な学びへと繋がります。
その他にも、ブレンドすることの効果は多岐にわたります。
・対話などアウトプットや双方向性のあるやり取りによる、学習効果の向上(記憶の定着)
・文章、動画、音声などコンテンツの選択肢を増やすことで、時間や場所を問わずに学習できる(学習機会の創出)
・教育リソースの効率化
・多様な働き方への対応
これらの効果は認知科学や行動科学、心理学などをベースにしているため、科学的な裏付けがあります。そのため、ブレンディッド・ラーニングでは、感覚的・属人的な研修設計や運営に頼ることなく、学習効果を高められるのです。
学習効果を高めることは、研修担当者や人事部全体、経営者たちも常に考えていることです。
そしてプログラムやコンテンツ、伝達方法も重要ですが、オフラインでの開催に際してはその研修環境(施設環境、会議室環境、ファニチャー、休憩環境など)も重要な要素です。
良い研修効果を求めるならば、良い研修環境の選択が大切なのです。
1947年東京生まれ。現、日本コンファレンスセンター協会(cbn-jp)4代目会長
FMG-JPN(JV5社のコンベンション施設運営会社)やCBN-JP設立、国際コンファレンスセンター協会理事就任など30年以上に渡り日本の会議文化発展に寄与。1993年、著書「感性ビジネス ザ・コンファレンスセンター」(文真堂より・共著)