Monthly Report 2022 April
30年前の米国歴史から学ぶ、研修環境の大切さ

2022/04/01

1970年~2000年頃、米国において社会人のマネジメント研修が盛んに行われ、それに伴って会議・研修専用の施設(コンファレンスセンター・ヒューマンデベロップメントセンター等)が全米で建設されました。

当時米国では大きくブルーワーカーとホワイトワーカーに分かれ、ブルーワーカーは入社後の簡単なオリエンテーションやトレーニングを経て現場に配属。ホワイトワーカーでも入社後1~2週間程度のOJT中心のスキル研修を経て本社オフィス等に配属となります。

マネジャークラスになると会社は本格的なマネジメント研修を行うとともに、業績の成績優秀者は仕事上での次の課題や解決方法等を学ぶために、リゾート地域等で開催される1週間程度のマネジメント研修やインセンティブ研修へと参加ができます。
選ばれた参加者のモチベーションをさらに高めるために、優雅でサービスの良いコンファレンス専用施設(ゴルフ場やスポーツ施設併設など)やリゾートホテル等での開催が多かったようです。

米国の企業は、スキル研修はOJT等による社内での研修が多いのですが、マインド研修(マネジメント研修や創造性研修など)は研修環境や施設サービスの良いところで開催する傾向にあります。
それは、環境を変え、参加者のモチベーションを上げる努力を研修内容と同様に重要視しているからなのです。

写真:当時の米国コンファレンスセンター

米国コンファレンスセンター

さて、教育や訓練の本質的理念は“人は教育で変えられる”という信念から成り立ちますが、最大のポイントは一人ひとりの内なる“興味”にあります。
興味を中軸にしたとしても、その人を囲む教育環境によって成長の度合いは大きく左右されます。優れた教育システムと良い環境に出会てこそ、個人は自らの“好き”を強化し、磨き、独自の個性を生み出すことができるのです。

その個性や創造性を伸ばすために米国においては研修環境も“感性”を大切にすることを重視して、少人数の議論・討論を中心にプログラムが組まれたり、ブレイクアウトルーム(小会議室)を多く用意したり、コーヒーブレイクエリア(KIOSK)を不足なく準備しています。

現在、新型コロナウィルス感染症の影響によりHR環境は大きく変貌して、研修の多くがオンラインで進められていますが改善点も多く見受けられます。
“オンライン研修”で人は変えられるのでしょうか?

※参考文献 : 「日本コンファレンスセンター協会 作成資料」(1990)
「Conference Center Planning and Design」(1991)
「ザ・コンファレンスセンター」(1993)

日本コンファレンスセンター協会(cbn-jp)会長 田中慎吾

1947年東京生まれ。現、日本コンファレンスセンター協会(cbn-jp)4代目会長
FMG-JPN(JV5社のコンベンション施設運営会社)やCBN-JP設立、国際コンファレンスセンター協会理事就任など30年以上に渡り日本の会議文化発展に寄与。1993年、著書「感性ビジネス ザ・コンファレンスセンター」(文真堂より・共著)