Monthly Report 2022 January
研修の形式別にみた学習目標の達成度

2022/01/01

過去2年間のコロナ感染における企業研修は予算、開催形式等大きな変化がありましたが、手法の選択肢や工夫の余地が増えただけ、企画者の手腕が問われています。

研修やセミナーには、参加者が会場に集まる「対面集合形式」、オンライン配信をリアルタイムで行う「オンライン集合形式」、事前に用意されたコンテンツを任意の時間に視聴する「録画コンテンツ視聴形式」の3つのスタイルがあります。

7月に公表されたパーソル総合研究所「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」(※)は、研修担当者と参加者へのアンケートで各形式の特徴を分析したものです。

“企業の研修担当者に対して、研修の実施形式別に学習目標の達成度を聞いたところ、オンライン集合研修では学習目標を8割以上達成したとの回答割合は46.5%となった。eラーニングでは学習目標を8割以上達成したとの回答割合は32.0%であり、達成度が低かった。”

図表:研修の形式別 学習目標の達成度

“一方、研修受講者に対して、研修が成果につながったかを聞いた結果では、対面集合研修とオンライン集合研修では成果の有無に大きな差は見られなかった。eラーニングと比べると、オンライン集合研修のほうが成果につながっているという結果であった。”

図表:研修の形式別 受講者の成果認識

※出典:パーソル総合研究所(2021年7月5日公表)コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査

ただ全体で見ればどの形式も達成度のばらつきは大きく、形式の特徴を活かした期待感、没入感、職務効力感など受講者の心理コンディションづくりが重要と提言されています。

参加者の期待感や職務効力感や費用対効果等を鑑みれば、開催場所(対面集合形式)の選択が受講者の心理コンディションに対して重要な作用があると思われます。

編集後記

コロナ感染拡大前の年(2018年)のコンファレンスビジネス(研修と会議)の年間市場は約1兆円(研修5,000億円とオフサイトミーティング5,000億円)と言われていますが、2022年度はどの程度復活してくるのだろうか?
勿論、オンラインミーティングが格段と増えてくることは想像していますが、オフラインやFace to Face ミーティングがどの程度の市場規模になっているのか?調査報告が待ち遠しいところです。

日本コンファレンスセンター協会(cbn-jp)会長 田中慎吾

1947年東京生まれ。現、日本コンファレンスセンター協会(cbn-jp)4代目会長
FMG-JPN(JV5社のコンベンション施設運営会社)やCBN-JP設立、国際コンファレンスセンター協会理事就任など30年以上に渡り日本の会議文化発展に寄与。1993年、著書「感性ビジネス ザ・コンファレンスセンター」(文真堂より・共著)